OBATALA SEGUNDO 中路英明氏



霞町音楽会第6回目を開催するにあたって、今までとは違った肉感的なライブイベントをやりたいと思っていたのですが、その時に一番最初に頭に浮かんだのがOBATALA SEGUNDO(オバタラ・セグンド)でした。オバタラ・セグンドとしては1枚のライブアルバムをリリースしていますが、そのライブアルバムの完成度が非常に高く、ここ数年で一番ライブを見たいバンドでした。
念願かなって、先月、初めてライブを見ることができ、想像を超える素晴らしい演奏に驚嘆しました。複雑なリズムの中でそれぞれの楽器が織りなす音のグラデーション、メランコリックなメロディ。音楽の深みを感じる演奏は、ラテンジャズを普段聴かないリスナーにも霞町音楽会をきっかけに聴いて欲しいと思っています。
今回インタビューはそのリーダー兼トロンボーンプレイヤーの中路英明氏です。


結成は16年前と言うことですが、現在のメンバーになってどのくらいですか?

中路英明氏(以下、中路):オバタラ・セグンド(第二期オバタラ)としては6年ですね。


参加されているメンバーについて教えてください。

中路:フュージョンが好きで、パットメセニーがお気に入りなんですが、その話を友人にしたら、パットメセニーみたいな人いるよと紹介されたのが、ギターの鈴木だったんですよ。この人はいろんなことができる人で、ピアノも弾けるし、ギター弾きながら、ペダルを踏んでベースを演奏し、口でドラムをやったりと、マルチプレイヤーです。昔プレイステーションのゲームでパラッパラッパーというゲームがありましたが、その音楽を作ったのも彼です。アメリカではゲーム音楽のグラミー賞みたいなものも受賞しています。あと、日本版ディズニーのスティッチの音楽を担当していますね。


すごいですね。その他のメンバーの方もラテンジャズにどっぷりと言う感じがしません。大儀見さんは違いますけど(笑)

中路:そうですね。音楽的なフィールドは皆それぞれバラバラという感じです。出会った場所も時期も様々です。大儀見は僕がオルケスタデラルスに入った時、そこのリーダーでしたし。伊藤志宏は違う現場で会ってデュオとか先にやってたんですが、ピアニストが決まらない頃、みんなから志宏にしたら?って言われて。自分のバンドをやってもらうと言うことは自分のワガママにつきあってもらうわけだから、躊躇はありましたよ。ただ、一昔前まではジャズにしてもフュージョンにしてもラテンテイストが何らかの形で入っていたので、みんな馴染みがなかったわけではないと思います。


トロンボーンがメインのラテンジャズって珍しいですよね。

中路:トロンボーンという楽器はギターと同じくらい破壊力があると思うんですよね。でも、あまりそういうところが伝わっていない。最近出てきたトロンボーン・ショーティみたいなアーティストが沢山出てきて、既成概念を壊してほしいですねえ。トロンボーンってなんか、1920~30年代の古い音楽のイメージがあるみたいで、新しいことをやろうとすると、往年のジャズファンや評論家には評判が悪いです。(笑)
そんな人の中にはパーカッションが入ってるだけでダメだって人もいるし。
クラブジャズと言われるようなバンドにラテンテイストを入れているバンドはありますが、我々がやっている音楽はそれとも少し違いますし。

僕が参加してきたオルケスタデラルス(1995年にはグラミー賞にノミネートされた)、熱帯ジャズ楽団は海外での評価は高かったのですが、それに比べると国内での評価はそれほどでもなかったんですよね。ワールドミュージックという文脈で語られてしまうと、当時の評論家筋にはほとんど理解されていない気がします。

ワールドミュージックにはブラジル、レゲエなどもありましたが、それぞれのジャンルにアイコンになるものが存在したんですよね。ボサノバだったらイパネマの娘という誰も知っている曲だったり、レゲエだったらボブマーリーがいたり。でも、ラテンジャズにはそういうものがなかったので、一般化しづらかったかもしれません。

ラテンジャズが一般化するためにはカフェミュージック的なアプローチがあってもいいかなと思います。歌謡曲やアニメ、良く知られている楽曲をラテンテイストにすることで、今までラテンジャズを知らなかったリスナーが興味をもってくれたらいいですね。自分自身は割となんでも受け入れられるので、DJがハウスミックスしたものになったとしても面白くていいなと思います。

ここ最近の音楽業界の流れは、音楽そのものの質が問われるということでない部分が大きくて、自分としては理解に苦しむこともありますが、そんな中でもこういうラテンジャズを演奏することは意味があることだと思っています。


ラテンジャズの魅力はどういうところにあるのでしょうか?

中路:やっぱりリズムが強調されていて派手で楽しいことですね。単にお祭り騒ぎだけじゃなくてワビサビもあるんだけど、常にポジティブな気分になれるのが最高の魅力だと思います。


ライブの迫力は圧巻です。

中路:ありがとうございます。どんなことをやっているか、ライブに来ていただければ皆さんすぐ理解して下さるんですけどね。ただ内容が濃いのでもっと静かな場面があってもいいかなと思います。ずっとハイテンションで演奏し続けるのも年齢的にキツいし(笑)。


中路さんはメジャーレーベルの仕事を長いこと経験されて、今インディーズで活動されていますが、活動の違いというのはあるのでしょうか?

中路:純粋にミュージシャンとしての活動の自由度はインディーズがあります。メジャーだと自分たちの音楽に理解をしてくれているかどうかわからないような制作スタッフの意見を取り入れて、ここで何故これを演奏しなければならいのか?と疑問に思うこともしばしばありました。売る事だけが追求されていましたね。
オバタラの1stアルバムも当時1万枚程度のセールスはあったんですが、レーベルからすると満足のいく数字ではなかった。今では想像できない世界です。


霞町音楽会出演に際して

中路:いつも通りの演奏をみなさんに感じていただいて、どのようにみなさんに届くかと言うことがとても楽しみです。共演者も素晴らしいミュージシャンなので、楽しいイベントになると思います。
沢山音楽ファンに来てもらって、いろんな音楽を楽しんでもらいたいですね。


圧巻のライブ盤はこちら 予習してライブに参加したい人はゼヒ。



■オバタラ・セグンド サマーツアー2013

★7/12(金)
姫路【ライラ】TEL:0792-24-9469
http://music.geocities.jp/layla_nobu/
★7/13(土)
岡山【ブルーブルース】TEL:086-227-5000
問い合わせ:090-8652-0205(嶋岡)
http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=blueblues_oka
★7/14(日)
高松【スピークロウ】TEL:087-837-0777
http://www.speak-low.com/
★7/15(月)
愛媛【石鎚山ハイウェイオアシス館】TEL:0898-76-3111
http://www.city.saijo.ehime.jp/kankou/oashisu.html
★7/16(火)
広島【ミュージックライフTAO】TEL:082-262-7744
http://m-l-tao.com/
★8/5(月)
新富士【ケルン】TEL:0545-52-0468
http://www.fujinokuni.co.jp/cz/koln.htm
★8/6(火)
名古屋【キャバレロクラブ】TEL:052-931-0914
http://www.caballero-club.com/
★8/7(水)
京都【ライブスポットラグ】TEL:075-241-0446
http://www.ragnet.co.jp/i/
★8/10(土)
福岡【ゲイツセブン】TEL:092-283-0577
http://www.gates7.com/
★8/11(日)
大分【カンタループ�】TEL:097-548-5363
http://www.cantaloop2.jp/
★8/12(月)
熊本【CIB】TEL:096-355-1001
http://cib-co.jp/
★8/14(水)
大阪【Mr.ケリーズ】TEL:06-6342-5821
http://www.misterkellys.co.jp/
★8/27(火)
原宿【クロコダイル】TEL:03-3499-5205
http://crocodile-live.jp/index2.html
千秋楽特別企画「夏のGIANT STEPS祭り」withブラックベルベッツ、サイゲンジ
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